02 Trust me

昼間なら難なく降りることができる海岸沿いの砂浜に降りる階段も、深夜の闇の中ではやや様子が違った。

「だいじょうぶだいじょうぶ」

と言いながらぼくより先にその階段を軽やかに降りはじめたキミは、数歩進んだところでふらっとよろめいて、何となくそんな予感がして後ろから離れずについていたぼくは、か細い腰に手を添えてキミを支えた。

月明かりの中、ぼくの腕の中にいるキミは振り返りぼくの目を見て微笑む。海風がキミの頬を撫で、黒く短い髪がさっと揺れる。

髪のひと筋ひと筋に夜の月の光の粒子が反射して、ぼくの目の前でキミの髪が放つ光が流星雨のように流れ、そして消えた。

暫くキミとぼくは見つめ合った。何も言わず。キミの瞳は不安もなく、責めもせず、かといって潤んで求めるわけでもなく、ただ、ぼくの全体像をぼんやりととらえているのだろう。

それは、不安定の上に成り立つ奇妙な安心感。

キミは今度は慎重に、一歩一歩コンクリートの階段を足の裏でしっかり確かめながら、僕たちは手を繋いで同じ速度で降りる。何も合図しなくても、ぼくとキミの足並みはしっかりとシンクロして、まるで心の中で一緒に1、2、1、2、と唱えているかのよう。

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